J-ASPECT Study

CHA2DS2-VASc scoreに基づいた適切な抗凝固薬内服が血栓回収術に与える副次効果 CHA2DS2-VASc score and prior oral anticoagulant use on endovascular treatment for acute ischemic stroke

AUTHORS

Imaoka Y, Ren N, Ogata S, Imamura H, Kaku Y, Arimura K, Watanabe S, Kiyoshige E, Nishimura K, Kobashi S, Ihara M, Kamiyama K, Morimoto M, Ohta T, Endo H, Matsumaru Y, Sakai N, Kitazono T, Fujimoto S, Ogasawara K, Iihara K

背景・目的

主幹動脈閉塞に対する血管内治療(EVT)において心房細動(AF)患者を対象としたCHA2DS2-VAScスコアおよび経口抗凝固薬(OAC)の術前内服の影響を評価しました。

研究手法と成果

2018年~2020年の期間で日本国内の353施設でEVTを受けた心房細動を有する患者を対象としました。評価項目は症候性脳内出血(sICH)、入院中死亡、3ヶ月後の機能的自立(mRS0-2)、有効再開通(mTICI≧2b)および完全再開通(mTICI3)としました。 CHA2DS2-VAScスコア、その構成要素、およびOAC内服による影響は、混合効果多変量ロジスティック回帰モデルにより評価しました。
結果:6,984人の患者のうち、780人(11.2%)がEVT前にワルファリンを、1,168人(16.7%)がDOACを使用していました。 CHA2DS2-VAScスコアに基づき、6,046例(86.6%)が高リスク(男性は2点以上、女性は3点以上)群、938例(13.4%)は中-低リスク群に割り振られました。 OAC使用の有無に関わらず、CHA2DS2-VAScスコアが高いほど、sICH、入院中死亡が増加し、3ヶ月後mRS 0-2が減少しました。 高リスク群の患者では、DOAC内服により、有効再開通および完全再開通の頻度が高い事が示唆されました(調整オッズ比[95%信頼区間(CI)]、1.27 [1.00–1.61]および1.30 [1.10–1.53])。 中-低リスク群の患者では、ワルファリン・DOACともに転帰に影響を及ぼしませんでした。 CHA2DS2-VAScスコアに関わらず、うっ血性心不全または左室機能障害、高血圧、75歳以上、または女性患者は、DOAC内服によって有効再開通および完全再開通の頻度が増加する可能性が示唆されました。

結論

CHA2DS2-VAScスコアが高リスクまたは中間リスク患者の一部におけるDOAC内服は、再灌流の成功および完全再灌流の割合を増加させました。これらの知見は、心房細動患者に対する予防的DOAC導入の補足的エビデンスとなる可能性があります。

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