日本における脳内出血後の院内死亡率と機能的転帰の年齢別10年間の全国的傾向:J-ASPECT研究 Ten-year national trends in in-hospital mortality and functional outcomes after intracerebral hemorrhage by age in Japan: J-ASPECT study
AUTHORS
Nakaoku Y, Ogata S, Ren N, Tanaka T, Kurogi R, Nishimura K, Iihara K.
背景・目的
脳内出血患者の予後に関する全国レベルのデータは不足しています。本研究の目的は、脳内出血患者の院内死亡率および機能的転帰の経時的推移を、性・年齢別に検討し、院内死亡率傾向の変化に関連する因子を探索することです。
研究手法と成果
国内最大規模のJ-ASPECT脳卒中データベースを用い、2010年4月から2020年3月までに非外傷性脳内出血で入院した18歳以上の患者を対象とした連続横断研究です。退院時の院内死亡率および修正Rankin Scaleを用いた機能的転帰の傾向、ならびに院内死亡率の年齢群間差について検討しました。 その結果、934病院の脳内出血患者262,399例において、粗院内死亡率は有意な減少傾向を示し(19.5%から16.7%へ)、この傾向は性・年齢群間で一貫していました。さらに、10年間の研究期間における院内死亡率の変化の差は、75歳以上の男性患者と64歳以下の男性患者で有意でした(75~84歳では-3.9%[95%信頼区間、-5.4~-2.4]、85歳以上では-4.1%[-6.3~-1.9])。一方、退院時の要介助患者(mRS 3-5)の割合は、10年間の研究期間中に52.0%から54.9%に増加しました。
結論
脳内出血患者の院内死亡率は改善しましたが、退院時の要介助患者の割合は10年間の研究期間中に増加しました。男性における院内死亡率の減少の違いの根底にあるメカニズムを明らかにすることは、将来、効果的な介入への洞察を与える可能性があります。