J-ASPECT Study

2013年から2016年までの日本における脳梗塞に対する血栓除去術の成績に及ぼす病院の能力と病院前の時間の影響 Influence of hospital capabilities and prehospital time on outcomes of thrombectomy for stroke in Japan from 2013 to 2016

AUTHORS

Ai Kurogi, Daisuke Onozuka, Akihito Hagihara, Kunihiro Nishimura, Akiko Kada, Manabu Hasegawa, Takahiro Higashi, Takanari Kitazono, Tsuyoshi Ohta, Nobuyuki Sakai, Hajime Arai, Susumu Miyamoto, Tetsuya Sakamoto, Koji Iihara, J-ASPECT Study Collaborators

背景・目的

急性期虚血性脳卒中に対する血管内血栓除去術(EVT)の均てん化は世界的に重要な課題となっています。中程度の包括的脳卒中センター(CSC)能力を有するEVT対応病院を増やすことが、高いCSC能力を有する病院へのEVTの集約化に代わる有効な選択肢となるかを検討しました。

研究手法と成果

全国の救急搬送(EMS)記録とリンクしたJ-ASPECTデータを使用し、2013~2016年に救急搬送された急性虚血性脳卒中患者を対象に、EVT使用、CSCスコア、EMS対応時間の合計が退院時のmodified Rankin Scaleスコアに及ぼす影響を、第 I 相(2013~2014年、1,461例)および第 II 相(2015~2016年、3,259例)で比較しました。
第 I 相から第 II 相にかけて、EVT は 2.7% から 5.5% に増加し、病院あたりの常勤血管内治療医が減少しました。CSCスコアとEMS応答時間は変化しませんでした。第 I 相では、CSCスコアが高いほど転帰が良く(1ポイント上昇、オッズ比[95%信頼区間]:0.951[0.915-0.989])、EMS応答時間が長いほど転帰が不良(1分上昇、1.007[1.001-1.013])となりました。第 II 相では、どちらも転帰に影響を与えませんでした。

結論

EVT対応病院が不足する過渡期には、CSCスコアが中程度の病院を増やすことで、全国的にEVTへのアクセスが向上し、転帰が改善する可能性があることを示しました。

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