J-ASPECT Study

2010~2018年の日本における包括的な脳卒中センター機能の継年変化と地域格差 Temporal trends and geographical disparities in comprehensive stroke centre capabilities in Japan from 2010 to 2018

AUTHORS

Kurogi A, Nishimura A, Nishimura K, Kada A, Onozuka D, Hagihara A, Ogasawara K, Shiokawa Y, Kitazono T, Arimura K, Iihara K; J-ASPECT Study Collaborators

背景・目的

包括的脳卒中センター(CSC)機能は、急性脳卒中による院内死亡率の低下に関連しています。しかしながら、CSC機能に改善傾向があるのか、それとも病院関連の要因が改善につながっているのかは不明な状況です。この研究では、日本におけるCSC機能が2010年から2018年の間に変化したかどうか、および変化が病院の特性によって影響を受けたかどうかを調査しました。

研究手法と成果

包括的脳卒中センターの整備に向けた脳卒中の救急医療に関する研究(J-ASPECT Study)の一環として、2010年、2014年、2018年に日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会の教育研修機関にアンケートを送付し、 2010年に749病院、2014年に532病院、2018年に786病院から回答を得ました。CSCの機能は、2010、2014、2018年の調査で検証済みのスコアリングシステム(CSCスコア:1〜25ポイント)を使用して評価し、病院特性の影響は、多重ロジスティック回帰分析を使用して解析しました。
3回実施した調査すべてに回答した323の病院のうち、13の評価項目について、基準を満たす施設が増加しました。CSCスコアの中央値(四分位範囲)は、それぞれ2010年、2014年、2018年で16(13-19)、18(14-20)、19(15-21)でした(p値<0.001)。6つの評価項目(例、脳血管内科医、ストロークユニット、常時(24時間週7日)稼働のインターベンションサービス)で20%以上の増加がありましたが、地域教育では20%以下の減少が見られました。立地に関係なくCSC機能の改善には、ベースラインのCSCスコアの低さ(オッズ比:0.82、95%信頼区間0.75-0.9)、ベッド数が500以上(オッズ比:3.9、95%信頼区間 1.2-13.0)、脳卒中診療に携わる医師の数(7〜9人)(オッズ比:2.6、95%信頼区間:1.1-6.3)などが影響していることがわかりました。

結論

2010年から2018年の間に、CSC機能には顕著な改善があり、これは主に血管内治療や多職種が携わる治療といった機能に関連していました。私たちの調査結果は、医療圏内においてCSC機能を改善するためにどの施設を対象とすべきかを判断するのに役立つでしょう。

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