J-ASPECT Study

75歳以上の高齢者における動脈瘤性くも膜下出血後の患者の転帰に対する治療手段と脳血管痙攣治療薬の効果 Effect of treatment modality and cerebral vasospasm agent on patient outcomes after aneurysmal subarachnoid hemorrhage in the elderly aged 75 years and older

AUTHORS

Ido K, Kurogi R, Kurogi A, Nishimura K, Arimura K, Nishimura A, Ren N, Kada A, Matsuo R, Onozuka D, Hagihara A, Takagishi S, Yamagami K, Takegami M, Nohara Y, Nakashima N, Kamouchi M, Date I, Kitazono T, Iihara K; J-ASPECT Study Collaborators

背景・目的

私たちは、日本におけるくも膜下出血(SAH)の患者について、治療手段や脳血管痙攣治療薬が臨床転帰に及ぼす影響が異なるのではないかと考え、高齢者と非高齢者で比較する研究を行いました。

研究手法と成果

私たちはJ-ASPECT Studyにおいて597施設より収集した2010~2014年のDPCデータから、脳動脈のクリッピング術またはコイル塞栓術を受けた症例(n = 17,343)を抽出して分析しました。それらの患者を年齢に応じて2つのグループに分類し(高齢者[75歳以上]、n = 3,885; 非高齢者、n = 13,458)、治療手段と脳血管痙攣薬(塩酸ファスジル、オザグレルナトリウム、シロスタゾール、スタチン、エイコサペンタエン酸[EPA]、およびエダラボン)が退院時の転帰不良(退院時のmRS 3-6)および死亡率に及ぼす影響を多変量解析を用いて分析しました。
高齢患者の方が女性の割合が高く、意識レベルの低い割合および併存疾患を持つ割合が高い傾向にあり、クリッピング術の施行割合やオザグレルナトリウムとスタチンを除く脳血管痙攣治療薬を用いている割合は低い傾向にありました。また、院内死亡率と退院時転帰不良の割合は高齢者の方が高いという結果でした(15.8% vs 8.5%、71.7% vs 36.5%)。
コイル塞栓術の施行は死亡率との関連が高いという結果でした(オッズ比:1.43、95%信頼区間:1.2-1.7)。ただ、非高齢者では退院時転帰不良の割合が低かった(同0.84、0.75-0.94)のに対し、高齢者においては転帰不良の割合に変化は見られませんでした。
脳血管痙攣治療薬の効果について非高齢者を高齢者それぞれで観察したところ、死亡率ではファスジル塩酸塩の使用が非高齢者についてオッズ比0.20、(95%信頼区間0.17-0.24)、スタチンの使用が0.63(0.50-0.79)、オザグレルナトリウムの使用が0.72(0.60-0.86)、およびシロスタゾールの使用が0.63(0.51-0.77)という結果で影響が観察されました。また、退院時転帰不良との関係性については、非高齢者でファスジル塩酸塩の使用がオッズ比0.59(0.51-0.68)、スタチンの使用が0.84(0.75-0.94)、およびEPAの使用が0.83(0.72-0.94)という結果でしたが、高齢者では、これらの薬剤が転帰不良に及ぼす影響は観察されませんでした。

結論

非高齢者とは対照的に、高齢者では治療手段による臨床転帰への影響は観察されませんでした。脳血管痙攣治療薬の使用については、高齢者と非高齢者で死亡率への影響に差がありましたが、退院時転帰については差異が見られませんでした。

TOP