J-ASPECT Study
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症例規模および包括的脳卒中センター機能がクリッピング術およびコイル塞栓術を受けたクモ膜下出血患者の転帰に与える影響 Effects of case volume and comprehensive stroke center capabilities on patient outcomes of clipping and coiling for subarachnoid hemorrhage

AUTHORS

Kurogi R, Kada A, Ogasawara K, Kitazono T, Sakai N, Hashimoto Y, Shiokawa Y, Miyachi S, Matsumaru Y, Iwama T, Tominaga T, Onozuka D, Nishimura A, Arimura K, Kurogi A, Ren N, Hagihara A, Nakaoku Y, Arai H, Miyamoto S, Nishimura K, Iihara K

背景・目的

症例規模の大きい病院で治療されたクモ膜下出血(SAH)患者の転帰はよくなるという点が報告されています。私たちは治療を受けた病院の症例規模が大きいこと、および包括的脳卒中センター(CSC)の機能が、クリッピング術やコイル塞栓術を受けたSAH患者の転帰に影響をあたえるかの調査を試みました。

研究手法と成果

私たちは2010~2015年にJ-ASPECTのデータベースに登録された27,490人のクリッピング術またはコイル塞栓術を受けたSAH患者を対象として、後ろ向きコホート研究を実施しました。病院は、事前にアンケートで調査した1~25点のCSCスコアで評価を行い、CSCスコア、およびクリッピング術、コイル塞栓術の症例規模で四分位ごとにクラス分けしました。
全体として、症例規模が大きい病院と少ない病院、およびCSCスコアの高い病院と低い病院を比較した場合の絶対的なリスクの低下は比較的小さいものでした。しかし、クリッピング術を多く施行している病院(>14症例/年)においてはクリッピング術を受けた患者の院内死亡率は有意に低いことがわかりました(Q1 の病院と比較したQ4の病院のオッズ比 0.71 [95%信頼区間 0.55-0.90])。ただし、短期的な臨床転帰に有意な差は見られませんでした。コイル塞栓術を多く施行している病院(> 9症例/年)においては、コイル塞栓術を受けた患者の院内死亡率が有意に低いこともわかりました(Q4の施設のオッズ比は0.69 [0.53-0.90])。また、短期的な臨床転帰は、Q3の病院(> 5 症例/年)のオッズ比が 0.75 [0.59-0.96] 、 Q4の病院のオッズ比が0.65 [0.51-0.82]と、症例規模が大きいほど良い傾向にありました。さらに、高いCSC機能(CSCスコア > 19ポイント)は、クリッピング術実施患者の院内死亡率の低下と有意に関連していました(オッズ比 0.68 [0.54-0.86])が、コイル塞栓術実施患者では有意差が見られませんでした。しかし、CSC機能と短期的な転帰不良については、有意な関連性は見られませんでした。

結論

クモ膜下出血患者の院内死亡率および短期的な臨床転帰について、治療を行った病院の症例規模やCSC機能が与える影響を調査した結果、クリッピング術実施患者とコイル塞栓術実施患者では異なる結果でした。血管内治療が普及した昨今においては、高いCSC機能を備えた病院において、クリッピング術実施患者のアウトカムが改善する可能性があります。

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