J-ASPECT Study

日本の原発性悪性脳腫瘍における最近の傾向と入院治療における医療資源の使用状況:DPCデータベース(J-ASPECT Study-脳腫瘍)を使用した全国調査 Current Trends and Healthcare Resource Usage in the Hospital Treatment of Primary Malignant Brain Tumor in Japan: A National Survey Using the Diagnostic Procedure Combination Database (J-ASPECT Study-Brain Tumor)

AUTHORS

Yoshimoto K, Kada A, Kuga D, Hatae R, Murata H, Akagi Y, Nishimura K, Kurogi R, Nishimura A, Hata N, Mizoguchi M, Sayama T, Iihara K

目的・背景

私たちは、原発性悪性脳腫瘍の入院患者の治療における最近の傾向と医療資源の使用について明らかにするためにこの研究を実施しました。

研究手法と成果

日本脳神経外科学会研修プログラムに登録された370の基幹施設および連携施設において2013年から2014年の間に治療を受けたすべての入院患者のDPCデータが収集されました。DPCデータとは、入院患者の退院時サマリーおよび保険請求の情報を含むデータです。 収集したデータのうち、6,142人の原発性悪性脳腫瘍の患者を評価対象として、患者情報、診断情報、治療手段、および医療資源の投入状況について分析を行いました。
最もよく行われていた治療手段は化学療法(症例の27%)で、次に外科手術(13%)、外科手術+化学放射線療法(11%)という順番でした。最も多く使用される化学療法薬であるテモゾロミド(TMZ)は1,236人の患者に投与されました。 TMZと放射線療法の併用は816人で、多くの場合、Stuppレジメンに従って実施されていました。
平均在院日数(LOS)は16日、平均医療費は1,077,690円でした。 TMZのみの治療患者の平均医療費は1,138,620円でしたが、TMZの併用患者では4,424,300円でした。LOSは症例規模の小さい病院よりも症例規模の大きい病院で有意に短く、1〜10人の患者を治療する病院と比較して21〜50人の患者を治療する病院の医療費は高い傾向にありました。ただし、TMZ治療の直接的な医療費は、症例規模の異なる病院間でも同じでした。
この報告は、TMZ時代の原発性悪性脳腫瘍患者の入院治療における傾向と医療資源の使用に関する報告として、日本で初めてのものです。

TOP