J-ASPECT Study

意識レベルと時間外入院が急性脳卒中患者の退院時転帰に及ぼす影響:J-ASPECT Study Consciousness level and off-hour admission affect discharge outcome of acute stroke patients: a J-ASPECT Study

AUTHORS

Kamitani S, Nishimura K, Nakamura F, Kada A, Nakagawara J, Toyoda K, Ogasawara K, Ono J, Shiokawa Y, Aruga T, Miyachi S, Nagata I, Matsuda S, Miyamoto Y, Iwata M, Suzuki A, Ishikawa KB, Kataoka H, Morita K, Kobayashi Y, Iihara K

目的・背景

通常の診療時間外に入院した脳卒中患者の転帰不良が報告されています。しかし、症例の重症度を調整した研究はほとんどありません。全国的な評価によって、私たちは重症度を考慮した上で、入院時間と退院時の障害との関連を調べました。

研究手法と成果

私たちは2010年4月から2011年3月 の間に262の病院に入院した35,685人の急性脳卒中患者を、虚血性脳梗塞(IS)、脳内出血(ICH)、またはクモ膜下出血(SAH)の3つのサブタイプで分析しました。mRSによって測定された退院時の障害、または死亡の割合が定量化されました。私たちは、入院期間の影響を推定するために、2つの階層ロジスティック回帰モデルを構築し、1つ目のモデルでは年齢、性別、併存疾患、および病床数で調整、2つ目のモデルでは、入院時の意識レベルと前述の変数の影響を調整しました。
退院時の重度の障害または死亡の割合は、通常の診療時間外に入院した患者で増加しました(診療時間内、診療時間外、深夜の割合は、それぞれ22.8%、27.2%、28.2%、p値 <0.001)。これらの傾向は、意識レベルを調整せずに二変量モデルと多変量モデルで有意でした。ただし、時間外または深夜の入院の影響は、入院時の意識レベルを調整すると、そのオッズ比(95%信頼区間)は、時間外で1.00(1.00-1.13、p値 = 0.067)、深夜で0.99(0.89-1.10、p値 = 0.851)でした。脳卒中のサブタイプを層別化した場合も各タイプで同じ傾向が観察されました。

結論

よく知られている時間外の影響は、患者の重症度に起因する可能性があります。 したがって、診療時間外においても重症患者を治療するための十分な脳卒中治療の体制が重要です。

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