包括的脳卒中治療機能が病院の脳卒中介入症例の規模に与える影響:
日本での全国調査(J-ASPECT Study)
The impact of comprehensive stroke care capacity on the hospital volume of stroke interventions:
a nationwide study in Japan(J-ASPECT Study)
AUTHORS
Iihara K, Nishimura K, Kada A, Nakagawara J, Toyoda K, Ogasawara K, Ono J, Shiokawa Y, Aruga T, Miyachi S, Nagata I, Matsuda S, Ishikawa KB, Suzuki A, Mori H, Nakamura F; J-ASPECT Study Collaborators
目的・背景
包括的脳卒中治療機能と病院の脳卒中介入症例との関連は明らかになっていません。私たちは、包括的脳卒中治療機能が病院の脳卒中介入症例数に与える影響を調査するため、日本で全国調査を実施しました。
研究手法と成果
私たちは組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)のプロトコルを備えているかに加え、病院の特性に関して包括的脳卒中センター(CSC)に推奨される人員、診断機器、専門手技、設備、および教育の分野に関する25項目からなる病院の特性についての質問票を作成し、1,369の専門研修施設に送付しました。そして、t-PAプロトコルを備える病院の特徴、すなわち基準を満たしたCSC項目の数(合計CSCスコア)が、t-PA投与、脳内血腫の除去、頭蓋内動脈瘤のコイル塞栓術およびクリッピング術の2009年中の実施症例数に及ぼす影響を調べました。
質問票を送付した病院の約55%が調査に回答しました。 t-PAプロトコル(85%)を備えた施設では、備えていない施設に比べて23のCSC項目について、基準を満たす可能性が高いことがわかりました。たとえば、人員分野では、脳神経外科医:97.3% vs 66.1%、神経科医:51.3% vs 27.7%、診断機器分野ではDSA:87.4% vs 43.2%、専門手技の分野ではクリッピング術: 97.2% vs 58.9%、コイル塞栓術:54% vs 14.3%、施設分野では、ICU:63.9% vs 33.9%、および 教育分野では医療従事者教育:65.2% vs 20.7%という結果でした。病院の特性を考慮して調整された多変量解析では、t-PAプロトコルを備えない施設の合計CSCスコアは、全種類の介入の症例数と正の相関関係にありました(p for trend < 0.001)。
結論
私たちの調査により、日本において包括的脳卒中治療機能と、施設ごとの脳卒中介入の症例数との間には、有意な関連性があることが明らかになりました。